特集 DOHaDと周産期医療
DOHaDと周産期医療:DOHaDと新生児の長期的合併症
胎生期における母体免疫活性化と精神疾患発症の関連
若山 楽々子
1
,
金 宥利
1
,
川口 大地
1
WAKAYAMA Rarako
1
,
KIM Yuri
1
,
KAWAGUCHI Daichi
1
1東京大学大学院薬学系研究科分子生物学教室
pp.1553-1556
発行日 2024年11月10日
Published Date 2024/11/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001793
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はじめに
近年,胎生期や発達期の環境要因が,その後のさまざまな疾患リスクに大きな影響を与えるとする「developmental origins of health and disease(DOHaD)仮説」が注目されている。遺伝要因の関与が大きいとされる自閉スペクトラム症(ASD),注意欠如・多動症(ADHD),統合失調症などの精神疾患においても,胎生期の母体の感染,特定の化学物質への曝露,低栄養,心理的ストレスなどの母体環境が発症リスク上昇と関連している。特に,これらの環境因子が精神疾患リスクを高めるメカニズムの一つとして,母体免疫活性化(maternal immune activation:MIA)の関与が明らかとなってきている。MIAによる精神疾患リスクの増大は,母体感染だけでなく,自己免疫疾患,アレルギー性疾患,ストレス,肥満などの非感染性の刺激によっても引き起こされる可能性が示されている。
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