連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(61)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 患者報告,急性呼吸不全,神経認知学的有害事象,急性心筋梗塞,CYP3A4,CYP1A2
Keyword:
● 患者報告,急性呼吸不全,神経認知学的有害事象,急性心筋梗塞,CYP3A4,CYP1A2
pp.1320-1326
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/12017051320
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.米国の早期乳癌患者を対象とした調査において,患者自身が重度以上と感じる治療に関連した毒性を約半数が経験していた。だが臨時受診や救急受診したのはわずかで,多くは定期受診時に主治医に相談していたことが報告されている。 2.台湾の国民健康保険データベースを用い,慢性閉塞性肺疾患患者を対象とした症例クロスオーバー研究において,抗精神病薬の使用開始後初期に急性呼吸不全のリスクが上昇したことが報告されている。 3.プロ蛋白質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害薬のランダム化比較試験のメタアナリシスにおいて,2つの大規模臨床試験に限った層別解析で神経認知学的有害事象リスクが上昇する可能性が示唆されている。 4.台湾で行われた症例クロスオーバー研究において,急性呼吸器感染症またはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)で急性心筋梗塞リスクが上昇し,急性呼吸器感染症でNSAIDsを使用した場合はさらにリスクが上昇したことが報告されている。 5.健康成人を対象とした試験において,アプレピタントの併用によりボスチニブの血漿中濃度に中程度の上昇が認められ,CYP(チトクロムP450)3A4を介した相互作用が示唆されている。 6.健康成人を対象とした試験において,シプロフロキサシンの併用によりキニーネの血漿中濃度に軽度の上昇が認められ,CYP1A2やCYP3A4を介した相互作用が示唆されている。