特集 ファーマコメトリクス~創薬と薬物治療マネジメントでの活用~
9.クリニカルファーマコメトリクスを基盤としたMRSA感染症治療薬による副作用発現の予測
辻泰弘
1
,
尾上知佳
2
,
笠井英史
3
1富山大学大学院医学薬学研究部(薬学)医療薬学研究室 准教授
2富山大学大学院医学薬学研究部(薬学)医療薬学研究室
3サターラ合同会社
pp.1289-1294
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.20837/12017051289
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ファーマコメトリクス(PMx)は,生化学的および生理学的な患者の情報(投与量,薬物血中濃度,年齢,性別および血液検査値等)を定量的に組み込み,薬物の体内動態や臨床反応を予測・説明する手法として,医薬品開発の分野では広く用いられるようになった。だが,臨床の現場における実際の患者治療への投与設計には,未だ積極的に用いられていない。
そこで本稿では,PMxモデルを基盤としたMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)感染症治療薬による血小板数減少症の発現予測を試みた。生理学的メカニズムを基盤としたクリニカルファーマコメトリクスの手法は実際に臨床応用可能であり,投与設計に貢献することが期待される。