特集 内科診療にガイドラインを生かす
感染症
MRSA感染症
椎木 創一
1
1沖縄県立中部病院感染症内科
pp.452-456
発行日 2013年11月1日
Published Date 2013/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107146
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内科診療に役立つ国内外のガイドライン
MRSAに関連する国内外のガイドラインには,MRSA感染症の診療を中心にしたものと感染対策を軸にした2種類が存在する.本稿ではMRSA感染症の診断と治療を示したガイドラインを抽出した.また,インターネットで簡便に入手可能でアップデートされているものとして,米国,日本,そしてEUからは英国のものを選択した.
この3カ国の院内で検出される黄色ブドウ球菌には,MRSAがある程度の頻度で発生している.こうした疫学的背景がある程度近いかどうかが,感染症診療に関連したガイドラインを読み解く場合に重要となる.ヨーロッパでもMRSAの頻度が極端に低い地域では,感染対策も含めてガイドラインの姿勢が異なってくる.しかし,地域によって疫学データの収集方法が異なっているため,比較するのは容易ではない.院内で検出されるMRSAについて,各地域での状況をいくつかの疫学データを集めて大まかに表1にまとめた.一口にEUと言っても国ごとの違いは著しく,まとめて論ずるのは適切ではない.とはいえ報告をみるとHAIで検出される黄色ブドウ球菌に占めるMRSAの割合が日本はEU全体よりも高く,米国はその中間と言える.
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