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これまで睡眠時無呼吸症(2014年のICSD3rdよりObstructive Sleep Apnea Syndromeという表記はObstructive Sleep Apnea Disordersに改訂となっている。なお,Centralに関しては従来の通りである)の診断と治療は,専門の睡眠医療施設において監視下の終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)により診断し,titrationにより決定された処方圧でのCPAP(Continuous Positive Airway Pressure)治療が第一選択であり,専門性の高い医療と認識されていた。一方で,睡眠時無呼吸症は非常に頻度の高い疾患であり,かつ放置すると社会的影響が大きいことから,初診から治療までのスムーズな医療提供が求められている。しかしながら,専門医・専門技師の不足あるいは専門施設の地域偏在により,検査の予約待ちが長く治療開始に時間がかかることや,高い医療コストが現在の課題としてあげられる。 そのような中で,2014年のICSD3rdにより在宅睡眠検査が標準法の一つとなったこと,APPLES study等によりCPAPのadherenceは予想以上の低さが明らかとなり,有効な代替治療が必要とされたこと等より,睡眠時無呼吸症の診療は変革が必要な時期に来ている。米国においては,オバマ大統領が2015年1月20日に行った一般教書演説の中でPrecision Medicineというフレーズが用いられ,医療全体の方向性として新たな概念が提唱されている。実際には,従来の疾患概念よりも更に詳細なサブグループへの分類と,より患者個々の特性に応じた医療の提供という説明がなされており,睡眠医療に関してもその影響が及んでくる可能性が考えられる1)。そこで今回は,睡眠時無呼吸症診療の新しい流れ・話題について概説する。