Japanese
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特集 睡眠と精神医学:「睡眠精神医学」の推進
最近の睡眠薬の動向と治療指針
Recent Trend of Hypnotics and Treatment
内村 直尚
1
Naohisa UCHIMURA
1
1久留米大学医学部精神神経科
1Department of Neuropsychiatry, Kurume University School of Medicine, Kurume, Japan
キーワード:
Hypnotics
,
Benzodiazepinen
,
Non-benzodiazepine
,
Melatonin
,
GABA
Keyword:
Hypnotics
,
Benzodiazepinen
,
Non-benzodiazepine
,
Melatonin
,
GABA
pp.519-527
発行日 2007年5月15日
Published Date 2007/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405100995
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はじめに
現在,わが国で使用されている睡眠薬は化学構造,作用機序からバルビツール酸系,非バルビツール酸系,ベンゾジアゼピン(BZ)系,非BZ系の4種類に大別される。
バルビツール酸系睡眠薬はBZ系睡眠薬が登場するまでは睡眠薬の主流を占めていたが,現在ではその使用は不穏,興奮状態にある患者の緊急的な鎮静や急性の睡眠障害で,しかも短期間で改善が期待できそうな場合に限られる。バルビツール酸系睡眠薬は中枢神経,特に大脳皮質や脳幹網様体賦活系を抑制することによって睡眠効果をもたらすとされている。しかし呼吸中枢や血管運動中枢に対しても抑制作用があるため,大量に服用した場合,生命を失う危険がある。また耐性や依存を生じやすく,しかも急激に服薬を中断した場合激しい離脱症状を起こす。
一方,非バルビツール酸系睡眠薬は睡眠作用が不安定で,習慣性や依存を起こしやすい。したがって一般の臨床においては作用しないことが望ましい。
現在,主に睡眠薬として使われているのはBZ系睡眠薬および非BZ系睡眠薬である。また,近年BZ系受容体の分子薬理学的研究により受容体サブタイプ(ω1,ω2,ω3)の存在が明らかになり2),サブタイプの選択性が高い睡眠薬が開発されている。そこで本稿では,本邦においてすでに使用されているω1選択性の高い睡眠薬および現在本邦で臨床試験が行われている睡眠薬について紹介し,さらにBZ系睡眠薬の選択,使用法および中止法について概説する。
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