特集 移行期医療~小児期から成人期への円滑な橋渡しを目指して~
7.低出生体重児~低出生体重は慢性疾患である~
楠田聡
1
1東京女子医科大学母子総合医療センター・所長/教授
pp.89-95
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201701089
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わが国の総出生数は減少傾向にあるが,低出生体重児の出生数は,近年は増加していた。さらに,これらの低出生体重児の生命予後も向上したため,今後成人期に達する低出生体重児の数は増加すると考えられる。しかしながら,低出生体重児はNICU(新生児集中治療室)入院中のみならず,退院後も種々の合併症を認める確率が高い。しかも,一部の合併症は成人後に初めて明らかとなる。従って,低出生体重児,特に合併症の頻度が高い極低出生体重児については,小児科に引き続き成人後は内科系診療科でのフォローアップが必要である。すなわち,極低出生体重児は慢性疾患と言える。ただ,現在の低出生体重児のフォローアップ体制は内科系診療科に円滑に移行する体制となっていないので,早急に体制を構築する必要がある。