Medical Scope
低出生体重児は出生時に仮死にならないように生ませよう
島田 信宏
1
1北里大学病院産科
pp.631
発行日 1980年9月25日
Published Date 1980/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205765
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周産期医学が進歩し,NICUでの技術が大きく改善されてくると,1,500g以下の低出生体重児の生存がずい分と可能となり,その成績も上ってきました。アメリカやカナダでも,立派なNICUでは,初体重が1,000gから1,500gまでの低出生体重児の生存率も非常によくなり,ある施設では妊娠33週以後に出生した新生児の奇形を除く生存率は100%であるということです。つまり,33週すぎて生まれれば,ひとりも死なないというのです。これは大変な成績ですが,単に,生存率だけを云々していてはいけないので,これらの小さい新生児がハンディキャップを残さないで,立派に生存しているかどうか,ということも考えてみなくてはなりません。そこで,初体重が1,000gから1,500gの低出生体重児の予後調査が必要となりますが,カナダのトロントでは,この予後調査をかなり広い範囲で行なっています。その成績が,第5回周産期医学国際シンポジウムで発表されました。
後遺症として,何らかの障害を残した症例と,全く何も後遺症を残さないで生存した症例とを比較してみると,大変に興味ある事実がわかってきました。その第1は,出生後に人工換気療法をうけたか,うけないかの差です。
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