連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く〈72〉
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 特任准教授
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 客員教授
キーワード:
● 口唇口蓋裂,心血管系イベント,言語発達遅延,CYP3A4,P-糖タンパク質,服薬アドヒアランス
Keyword:
● 口唇口蓋裂,心血管系イベント,言語発達遅延,CYP3A4,P-糖タンパク質,服薬アドヒアランス
pp.1080-1086
発行日 2018年4月1日
Published Date 2018/4/1
DOI https://doi.org/10.20837/12018041080
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〔今月の注目論文のポイント〕 1.米国の医療情報データベースを用いた研究において,妊娠初期(第1三半期)にてんかんに用いる用量のトピラマートを服用していた場合,出生児の口唇口蓋裂のリスクは上昇したが,てんかん以外に用いる低用量のトピラマートではリスク上昇を認めなかったことが報告されている。 2.カナダの医療情報データベースを用いた症例対照研究において,バレニクリン開始後12週間に心血管系イベントのリスクが上昇し,神経精神系イベントのリスク上昇はわずかであったことが報告されている。 3.スウェーデンで行われたコホート研究において,妊娠初期(妊娠8~ 13週まで)にアセトアミノフェンを服用していた場合,出生した女児では生後30カ月において言語発達遅延のリスク上昇を認め,男児では認めなかったことが報告されている。 4.正常腎機能および軽度腎機能障害被験者を対象とした試験において,軽度腎障害とベラパミル併用によるリバーロキサバンの血漿中濃度への影響は相加的であり,中程度に上昇したことが報告されている。 5.健康成人を対象とした試験において,アメナメビルの血漿中濃度はリファンピシン併用で高度に低下し,ケトコナゾール併用で中程度に上昇したことが報告されている。 6.糖尿病薬間で服薬アドヒアランスなどを比較した試験のメタアナリシスにおいて,スルホニルウレア薬とチアゾリジン薬のアドヒアランスはメトホルミンよりも高く,長時間作用インスリンアナログは中時間作用インスリンやGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)阻害薬よりも治療継続性が高かったことが報告されている。