連載 ●副作用・薬物相互作用トレンドチェック
注目論文を読み解く(46)
佐藤宏樹
1
,
澤田康文
2
1東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座
2東京大学大学院薬学系研究科育薬学講座 教授
キーワード:
● PT-INR,急性腎障害,TSH,骨折,歯ぎしり,トルサード・ド・ポワント
Keyword:
● PT-INR,急性腎障害,TSH,骨折,歯ぎしり,トルサード・ド・ポワント
pp.154-159
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201601154
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
〔今月の注目論文のポイント〕 1.本邦の大学病院一施設の診療録を用いた検討において,ワルファリンとリネゾリドが併用された6名の患者でPT-INR(プロトロンビン時間?国際標準比)が上昇したことが報告されている。 2.米国FDA(食品医薬品局)の有害事象データベースを用いた検討により,65歳以上のバラシクロビルとロキソプロフェン併用群において,急性腎障害の報告が非服用群,単独服用群より多く,両剤の相互作用が示唆されている。 3.海外の医療情報データベースを用いた検討において,レボチロキシン服用患者のTSH(甲状腺刺激ホルモン)は鉄剤,カルシウム剤,プロトンポンプ阻害薬,エストロゲン製剤の併用により上昇し,スタチン併用により低下する可能性が示唆されている。 4.統合失調症のためクロザピンを服用していた2名の患者において,不安症状に対してプレガバリンを併用したところ,痙攣発作または失神を起こし,骨折した症例が報告されている。 5.乾性咳嗽や鼻汁のためケトチフェンが投与された小児患者において,夜間の歯ぎしりが発現し,服用終了後に消失したが,再投与により再発した症例が報告されている。 6.転移性去勢抵抗性前立腺癌のためアビラテロン酢酸エステルが投与された患者において,心房細動を伴うトルサード・ド・ポワントが発現し,心停止を起こした症例が報告されている。