連載 患者のQOL向上と薬剤師の関わりPART I.院内製剤(80)
がん患者の局所疼痛に対するモルヒネゲルの使用と効果
石橋さやか
1
,
長尾由佳
1
,
奥田亜希子
1
,
亀井健人
1
,
高栁和伸
2
1倉敷中央病院薬剤部
2倉敷中央病院薬剤部 薬剤部長
pp.2543-2547
発行日 2016年11月1日
Published Date 2016/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201611145
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
皮膚や粘膜などの局所部位の疼痛は,オピオイドの全身投与では緩和されない場合が多く,副作用により増量が難しい場合もある。近年,オピオイドの中枢神経を介さない末梢での作用機序について,明らかになってきている。倉敷中央病院(以下,当院)では,モルヒネ塩酸塩の外用剤であるモルヒネゲルを院内で調製して使用している。
当院では,がん性疼痛だけでなく,がん局所部位に放射線照射した際に生じる疼痛に対しモルヒネゲルの有効性が示唆されている。疼痛が皮膚や粘膜に限局した症例や,オピオイドの全身投与を行っても,皮膚や粘膜の強い疼痛を緩和するのが困難な症例において,モルヒネ塩酸塩の外用剤が有効であると考えられる。