医薬ジャーナル論壇
認知症高齢者と薬剤師
寺田智祐
1
1滋賀医科大学教授・医学部附属病院薬剤部長
pp.599-601
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201602599
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
認知症高齢者は,大きな医療・社会問題となっている。今後もその数は爆発的に増加することが予測され,2025年には,65歳以上の高齢者の約20%に達すると言われている。最近,米国における大規模コホート研究の結果,抗コリン薬の継続的な投与が,認知症発症のリスク因子となり得ることが明らかにされた。実態の詳細は不明であるが,ポリファーマシーが問題となっている本邦でも,おそらく状況は変わらないであろう。「高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015」では,認知機能の低下のリスクがあるため,特に慎重な投与を要するリストにあげられている医薬品も少なくない。近年は,中枢移行性の抑えられた抗コリン薬も多く上市されていることから,代替薬の提案などを通して,薬剤誘発性認知症の発生抑制に,薬剤師も貢献していくことが重要であろう。