連載 クリニカル・パスと薬剤師(66)計画と実践のノウ・ハウ
膀胱全摘術と回腸導管造設術パスにおける薬学的管理の見直し
宮川藍
1
1済生会熊本病院薬剤部
pp.2121-2125
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201609127
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
膀胱全摘術と回腸導管造設術における術後合併症では,イレウスの発症率が高いことが知られている。そこで,術後イレウスの発症率の低下を目的として,腸管前処置と術後疼痛管理に着目し,クリニカルパス(以下,パス)による薬学的管理の見直しを行った。腸管前処置に関しては,在院期間の短縮と患者負担を軽減するために,必要最小限の腸管前処置内容へパスを改訂した。パス改訂後,イレウスを含め重篤な術後合併症は生じていない。術後疼痛管理に関しては,イレウス未発症群において術後に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の使用頻度が高いことが明らかとなった。過去に術後イレウスの発症機序の一つとして,腸管壁内の炎症カスケードが報告されている。今回の調査から,NSAIDsの適切な使用が術後イレウスの予防に有効であることが示唆された。