特集 Onco-nephrology ~腫瘍学と腎臓病学の融合~
9.透析患者における抗がん薬投与 ~理論と実際~
大野能之
1
1東京大学医学部附属病院薬剤部
pp.2105-2109
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201609111
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
透析患者はがんの有病率が高いことが報告されており,透析患者の死亡原因の第3位(11.4%)であるが,透析患者のがん治療法のエビデンスはほとんどない状況である。また,透析患者は心血管疾患や貧血の合併,易感染性,体液量・電解質の管理に加えて,薬物動態が異なるため,抗がん薬の用量・投与のタイミングに十分注意する必要がある。透析患者における薬物の投与設計の場合,薬物の腎排泄寄与率の評価に加えて,透析による薬物除去の程度を評価する必要がある。また,透析患者においては服用薬も多く,薬物相互作用にも注意が必要となる。透析患者への抗がん薬投与において,薬物動態学的な面から理論的に考察することは,投与の可否の判断や投与設計において必要不可欠である。