連載 知って安全! エビデンスに基づく抗がん薬の曝露対策と臨床実践 【7】
抗がん薬投与後の患者のリネン類の取り扱い
平井 和恵
1
Kazue HIRAI
1
1東京医科大学医学部看護学科
pp.390-392
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_kango27_390
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はじめに
看護師は,HD (hazardous drug)投与後の患者の排泄物や体液,それらで汚染されたリネン類を日常的に取り扱うことや,患者・家族への指導を担うことから,それらの実践については,2015年に『がん薬物療法における曝露対策合同ガイドライン』が発刊された当初から関心が高かった.排泄物・リネン類への対策は,投与時の対策が組織的な理解を得るところから始めなくてはならないのに比べて看護チームとして取り組みやすく,この問題から曝露対策に着手したという施設は多い.今では多くの施設が,排泄物・リネン類の取り扱いについて,なんらかの対策を行うようになっている.
『がん薬物療法における職業性曝露対策ガイドライン2019年版』1)では「HDを投与した患者に使用したリネン類で明らかな体液や排泄物などがみられる場合は,区別した取り扱いをすることが推奨されるか」というCQに対し,強く推奨している.本稿では,このCQの根拠となったエビデンスを紹介し,現場での実践について考えていきたい.
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