特集 Onco-nephrology ~腫瘍学と腎臓病学の融合~
3.抗がん薬と急性腎障害
松原雄
1
,
柳田素子
2
1京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座 講師
2京都大学大学院医学研究科腎臓内科学講座 教授
pp.2063-2068
発行日 2016年9月1日
Published Date 2016/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201609069
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近年,がん薬物治療の進歩によりがん患者の生存率は改善している。その一方で,がん薬物治療による有害事象も複雑化している。腎障害はがん薬物療法時に起こる有害事象として代表的なものである。がん薬物治療に伴う腎障害は,薬物性腎障害全体の15%を占めるとされ,抗菌剤やNSAID(非ステロイド系消炎鎮痛剤)に次いで頻度が多い。そこで本稿では,がん薬物治療に伴う腎障害の中でも急性尿細管壊死,尿細管細胞障害,血管障害,糸球体障害,急性尿細管間質性腎炎,結晶性腎障害にスポットを当て,代表的な薬物および腎障害のメカニズムについて解説する。