特集 薬剤疫学 ~医療ビッグデータの利活用~
9.医療ビッグデータの活用への期待と課題:製薬企業の立場から
兼山達也
1
,
青木事成
1
,
白ヶ沢智生
1
,
丹羽新平
1
,
宮崎真
1
,
吉永卓成
1
1日本製薬工業協会 医薬品評価委員会TF1
pp.1905-1908
発行日 2016年8月1日
Published Date 2016/8/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201608113
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2013年4月以降に承認申請を行う新医薬品は,医薬品リスク管理計画指針が適用され,既に150以上の医薬品が指針に従った安全管理を実施されている。だが,ICH-E2E(医薬品安全性監視の計画)のANNEXに示されている種々の医薬品安全性監視の方法は,未だ十分に用いられていない。その理由として,NDB(レセプト情報・特定健診等情報データベース),MID-NET(医療情報データベース基盤整備事業)などの医療情報データベース(医療DB)の利用が製薬企業には認められていないことや,医療DBを用いた調査による再審査申請自体が認められていないことなどがあげられるが,できることもあるのではないだろうか。 医薬品リスク管理において,リスクの特定はスタートラインに過ぎない。医療DBには,リスクを最小化し安全で効果の高い使用を推進する目的など,さまざまな利用価値があるだろう。また,リスク最小化の究極としてAI(人工知能)やディープラーニングを用いた精密医療(Precision Medicine)があるが,そのために医薬品の精緻な情報の創出と提供も不可欠である。