医薬ジャーナル論壇
「健康」と「真面目」が評価されにくい社会
佐藤博
1
1新潟大学名誉教授
pp.1407-1409
発行日 2016年6月1日
Published Date 2016/6/1
DOI https://doi.org/10.20837/12016061407
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超高齢化社会を目前にして,税や保険料負担軽減のため,医療は治療からケアや介護へ,病院から在宅へのシフトが急ピッチで進められている。これまでは健康維持を自己責任とするといった日本人の美徳が,医療費の軽減を陰で支えてきた側面がある。セルフメディケーションの核でもある個人の「健康」や「真面目」な生活や行動に対しても,医療政策上の「飴と鞭」を用いた正当な評価なしに,更なる国民の自助努力へ期待するのに限界があるのは,ジェネリック医薬品使用促進の歴史的経緯一つを見ても明白である。社会全体として再考すべき時期が近づいている。