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毎年年末になると,暇な時間ができます.そうすると,普段できないリサーチをしたくなるのが毎年のことです.いろいろな学会に参加していますが,脊椎外科医師は朝から晩まで,いつも多くが参加して勉強しているような印象を受けるのは,私だけではないでしょう(脊椎脊髄ジャーナルということでお許しください).また多くの脊椎外科医師は,諸外国に比較して基礎と臨床医学を両立させています.本邦の特徴であり,これは世界に誇るべきことと考えています.
さて,われわれは学会で発表した内容をどれだけ英語原著にしているのでしょうか? これを真面目さの指標とするのは語弊がありますが,Pubmedを検索していると,ある学会で発表された口演,ポスターがどれくらいの割合で最終的に英語原著化されているかをまとめた論文に出くわします.渉猟し得た限り,学会発表し,その後5年以内での英語原著化率は米国整形外科学会では34〜58%,海外の整形外科関連学会では41〜67%と報告されています.ちなみに,海外の脊椎学会の一覧を提示します(表1).これらと対比すべく,実際に,日本整形外科基礎学術集会1,500以上の口演,ポスター発表の行く末(発表から5年後まで)を検討してみました.2006〜2008年における日整会基礎は40〜50%が英語原著化されていました.おそらく,本学会は大学院生の学位論文が多数発表されているために,世界水準を維持できていると思われました.本邦最大の学会である日本整形外科学会総会(臨床)においてはどうでしょう.2006〜2007年における1,600以上の演題のうち,英語原著化(発表から5年後まで)は20%台で,やや低い値となっています1).ただし,各領域でいちばん演題数も多く英語原著化されているのは脊椎領域であり,やはり脊椎外科医師は,真面目なのかなという印象です(図1).ここで興味深かったのは,口演発表の査読点数が高いですが,最終的な論文化率,論文のインパクトファクター(IF)は,ポスター発表後の論文と有意差がない点です1).ですから,ポスター採択でも将来性は劣ることはまったくございませんので,悲観されないでいただきたく思います.
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