特集 認知症 ~病態と治療~
5.血管性認知症の病態と治療
石川英洋
1
,
冨本秀和
2
1三重大学大学院医学系研究科・神経病態内科学講座(神経内科)
2三重大学大学院医学系研究科・神経病態内科学講座(神経内科) 教授
pp.861-867
発行日 2016年3月1日
Published Date 2016/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201603861
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血管性認知症(vascular dementia:VaD)はアルツハイマー病(Alzheimer’s disease:AD)に次いで多く,認知症の約20%を占める。VaDの病態は均一ではなく,AD病変が重複する混合型認知症の概念もあり,おのおのの臨床的特徴の理解と病因に即した治療法の選択が必要である。脳アミロイド血管症はADに必発するが,特に重度のものでは老人斑や神経原線維変化が高率に随伴してADと診断される。しかし,これらのAD病理がなくても認知症を発症する場合があり,その診断はVaDの範疇に属する。治療薬として既存の抗認知症薬の有効性が報告されているが,本邦ではVaDに対しては未承認である。脳血管障害の予防,特に中年期の血圧管理が重要である。動物実験で有効性が期待される白質保護薬の報告があり,臨床的検証が期待される。