特集 薬物乱用・依存・中毒の現状~「危険ドラッグ」を中心に~
6.「危険ドラッグ」乱用・依存患者の治療
小林桜児
1
1神奈川県立精神医療センター依存症診療科長/医長
pp.667-670
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201602667
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危険ドラッグの依存症患者は,薬事法改正による所持や使用の違法化を契機に,2014年の夏以降,激減している。もともと危険ドラッグ依存症患者は覚せい剤と異なり,社会適応は良好で,薬物乱用に伴う負の体験も乏しく,断薬に向けた動機付けが乏しい者が多かった。従って,治療導入に当たっては断薬を性急に求めるより,患者にとって危険ドラッグがどのような心理的効果を持っていたのかを確認し,薬物の助けを必要とするほど孤立していた患者の心に共感の意を示すことが信頼関係構築に役立つ。さらに患者が本音の感情に気づき,言葉にして他者に表出可能となるように援助者が関わっていくことが,心理的孤立の回避と断薬の実現に重要である。