特集 薬物乱用・依存・中毒の現状~「危険ドラッグ」を中心に~
7.「ゲートキーパー」としての薬剤師の役割
嶋根卓也
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1国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 薬物依存研究部 心理社会研究室長
pp.673-676
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201602673
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ここ数年,処方薬乱用の問題は,確実に広がっている。睡眠薬や抗不安薬を乱用し,薬物依存となる患者は増加傾向にある。さらに,処方薬乱用は,薬剤の溜め込み,溜め込んだ薬剤の過量服薬,過量服薬による衝動性の高まり,その結果としての自殺リスクと,乱用から広がる危険性は幅広く,深刻である。 近年では,処方薬乱用者のゲートキーパーとして,薬剤師の関与が注目されている。薬剤師には,「相談する上でのハードルが低い」,「主治医との情報共有が可能」,「薬剤情報の一元化が可能」といった特徴があり,処方薬乱用リスクを減らしていくことが期待されている。本稿では,心に悩みを抱えた患者に気づき,声をかけて,話を聞いて,専門的支援につなげるゲートキーパーとしての薬剤師の役割を解説する。