特集 薬物乱用・依存・中毒の現状~「危険ドラッグ」を中心に~
2.一般人口における薬物乱用の今日的動向~「危険ドラッグ」問題を含めて~
和田清
1
1埼玉県立精神医療センター依存症治療研究部長
pp.641-646
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201602641
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現在,第3次覚せい剤乱用期が始まってから既に20年以上が経過しており,この間の薬物乱用・依存状況の変化は著しい。特に,2011年下半期頃から社会問題化した「脱法ドラッグ(今日の“危険ドラッグ”)」乱用問題は記憶に新しい。 今日のわが国の薬物乱用・依存状況は,生涯経験率の高い順に,有機溶剤,大麻,覚せい剤である,今日的に最も乱用されている薬物は大麻である, 「危険ドラッグ」が未曾有の勢いで乱用され,覚せい剤の乱用に迫る勢いである――と,まとめることができる。幸い,「危険ドラッグ」問題は,平成26年(2014年)の流通規制・取締の強化により,劇的に鳴りを潜め,事実上終息した。しかし,新規薬物の検出・同定・有害作用の特定体制は本質的に改善されておらず,今後,新たな形で再問題化する可能性がある。