特集 薬物乱用・依存・中毒の現状~「危険ドラッグ」を中心に~
5.精神科救急から見た薬物乱用・依存の実態
合川勇三
1
1埼玉県立精神医療センター第2精神科・医長
pp.661-665
発行日 2016年2月1日
Published Date 2016/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201602661
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精神作用物質は,幻覚妄想状態や精神運動興奮状態を引き起こす。そのため,精神科救急では,精神作用物質の使用による精神病性障害のために搬送される症例が後を絶たない。特に2011年末頃からは,危険ドラッグによる精神科救急入院が急増した。精神科救急に訪れる薬物乱用・依存患者には,治療動機が高くはない患者が多く認められ,依存症治療につなげることが困難な症例が多い。しかし,入院という出来事は自分の健康に対して危険のある行動について振り返ったり,指導を受けやすい「teachable moment」であり,変化に対する動機が高まっている時期でもあるため,動機づけ面接法等を用いて,治療動機を高めていくことが重要である。