特集 思春期の薬物乱用予防—生きる力をやしなう活動を求めて
マスコミの視点から見る薬物乱用
小国 綾子
1
1毎日新聞社会部
pp.100-104
発行日 2002年2月15日
Published Date 2002/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902669
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等身大の若者を描く難しさ
薬物問題を取材するようになって5年が過ぎた.1996年,警視庁詰めの生活安全部担当記者として,事件としての薬物問題を取材したのをきっかけに,薬物依存と回復,背後にある家族関係などをテーマに取材を重ねてきた.
私が薬物問題にのめり込んだのは,実は一つの後悔がきっかけだ.警視庁詰めだった5年前のことだ.当時はまさに10代の若者の覚せい剤乱用が社会問題となりはじめた頃で,高校生の覚せい剤事件などが新聞やテレビをにぎわせていた.警察は,少年の覚せい剤事案を記者発表するたび,判で押したように同じ動機を口にした.「被疑者は覚せい剤に手を出した動機について『好奇心から』と述べている」と.その結果,新聞やテレビは「好奇心から覚せい剤」という趣旨の記事を垂れ流し続けた.私もそのうちの一人だった.
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