医薬ジャーナル論壇
創薬における産官学連携の意義 ―今こそ求められるオールジャパン体制の構築―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.27-29
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201601027
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わが国の創薬環境は,今,大きな転換期を迎えつつある。激化の一途を辿る国際的な新薬創出競争の中,官民一丸となって医薬品開発を活性化する,“オールジャパンの創薬体制”の整備が急がれているのである。その体制構築にあたって,最も重要なキーワードとなるのは,産官学連携の推進であろう。従来,わが国の医薬品開発では,アカデミアの有望な創薬シーズが,製薬企業の臨床応用に効果的に連結されてこなかった。しかし,2015年4月に設立された日本医療研究開発機構(AMED)が,新薬創出を強力に主導するなど,国家的な支援策が動き始めている。降圧薬バルサルタンの臨床試験問題以来,アカデミアと企業による医薬品の共同研究に対しては,社会からの厳しい目が注がれてきた。だが,画期的な新薬を継続的に臨床へ届けるには,産官学の連携は欠かせない。日本発の優れた医薬品の創製を目指す上で,産官学連携の重要性はますます高まっている。