第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
糖尿病治療薬
阿部孝洋
1
,
曽根博仁
2
1新潟大学医学部血液・内分泌・代謝学分野
2新潟大学医学部血液・内分泌・代謝学分野 教授
pp.451-460
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513451
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糖尿病治療薬は,2009年以降にインクレチン関連薬であるDPP-4(ジペプチジルペプチダーゼ4)阻害薬,GLP-1(glucagon-like peptide 1)受容体作動薬が登場した。これらは体重増加をきたしにくく,血糖依存性に血糖降下をもたらし,単独では低血糖をきたしにくいという特徴から広く使用されるようになり,治療の主役を担うようになった。2014年には新たにSGLT2(sodium-dependent glucose co-transporter 2)阻害薬が登場した。これは腎近位尿細管からのグルコース再吸収を抑制し,尿糖排泄促進による血糖降下作用を起こす,全く新しい機序の薬剤である。GPR40(G protein-coupled receptor 40)作動薬は,血糖依存性にインスリン分泌を促進する薬剤として登場が期待されていたが,肝臓における安全性の懸念からfasiglifam(開発コードTAK-875)の開発が中止された。DPP-4阻害薬では,週1回投与型のtrelagliptin(開発コードSYR-472)の国内承認が申請中である。インスリンでは,インスリン デグルデクとインスリン アスパルトの混合製剤であるライゾデグ®配合注が認可を受け,現在承認申請中である。