第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け~新薬の広場~
■糖尿病治療薬
原島伸一
1
,
稲垣暢也
2
1京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学
2京都大学大学院医学研究科糖尿病・栄養内科学 教授
pp.403-414
発行日 2013年1月31日
Published Date 2013/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201313403
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糖尿病治療は,新しい時代を迎えた。大規模臨床研究の結果を踏まえ,ADA/EASD(米国糖尿病協会/欧州糖尿病研究協会)合同の2型糖尿病診療新ステートメントでは,血糖コントロールは,患者の背景に応じて異なる目標のHbA1c(ヘモグロビンA1c)が示された1)。罹病期間が短く,平均余命が長く,心疾患の病歴がなく,低血糖を経験したことがない症例では,6.0~ 6.5%と厳しい目標が設定され,一方,重症低血糖の経験があり,余命が短く,合併症が進行している,または,併発している症例では,7.5~ 8.0%と目標は高めに設定している。新しい作用機序を有する抗糖尿病薬も,開発が進行中であり,2013年にはsodium-glucose cotransporter-2(SGLT-2)阻害薬が製造承認される予定である。また,新しいインスリン製剤の開発も進んでいる。新規抗糖尿病薬の作用機序や効果を十分に理解し,患者一人一人に適した個別の治療を提供することがますます重要になっている。