特集 糖尿病治療薬の最前線 ~臨床試験・臨床疫学的観点も含めて~
3.αグルコシダーゼ阻害薬と治療成績
藤原和哉
1
,
曽根博仁
2
1筑波大学大学院疾患制御医学専攻 水戸地域医療教育センター 内分泌代謝・糖尿病内科
2新潟大学大学院医歯学総合研究科 血液・内分泌・代謝内科学分野・教授
pp.2353-2359
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201310065
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αグルコシダーゼ阻害薬は,上部小腸からの炭水化物の吸収を遅らせ,食後血糖値の上昇を抑制する薬物である。単独投与において低血糖の頻度が低く,体重増加をきたしにくいという特性を持ち,他の糖尿病治療薬との併用効果もあり,幅広い使い方が可能である。さらに,食後高血糖を是正することにより2型糖尿病発症抑制や,心血管疾患を抑制することも報告されている。以前より食後高血糖が心血管疾患の危険因子である可能性が指摘されてきたが,24時間持続血糖モニタリングの普及にて食後血糖を含めた1日の血糖変動の測定が可能となり,今後は低血糖を回避するとともに,食後高血糖を意識したきめ細かい血糖コントロールを行うことが重要となる。本稿では,αグルコシダーゼ阻害薬の種類と特徴,食後血糖のエビデンスについて述べる。