第 I 部 新薬創出における日本医療研究開発機構(AMED)の役割
2.研究者の立場から 1)医学系研究者 ~日本医療研究開発機構の果たす役割と医学研究者への期待~
宮田俊男
1
,
黒川
2
1日本医療政策機構・エグゼクティブディレクター
2政策研究大学院大学・客員教授
pp.238-241
発行日 2015年1月31日
Published Date 2015/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201513238
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アベノミクス第3の矢の目玉の一つである日本版NIH(National Institutes of Health)構想であるが,2015年4月に日本医療研究開発機構(AMED)が設立されることになり,国内外から大きな役割が期待されている。トップダウンで実用化の出口を見据えつつ,基礎研究の有望な成果について実用化まで一貫したマネジメントのもと,研究支援がなされるだろうという期待である。これまで,基礎研究は文部科学省の,実用化は厚生労働省と経済産業省の所管であり,縦割り行政に横串を通すことはなかなかできなかった。日本版NIH構想が,これまで長年要望されながらも実現が難しかったのは,臨床研究予算の増額が基礎研究予算の減額につながり,基礎研究力が低下する可能性のあることがアカデミアから懸念されていたことと,予算権限を手放すことになる各省の官僚からの抵抗が強かったためである。今回も基礎研究者から懸念する意見があったが,基礎研究の予算を減額することはないと政府は説明し,引き続き,基礎研究の推進を進めることを前提とすることにより,基礎研究者の理解を得て,さらに政府の強いリーダーシップの下,各省との調整がなされた結果,2014年2月12日に国会に提出され,5月23日に新しい法律が成立した。健康医療戦略推進法とAMEDについて解説を行い,残された課題についても言及する。