特集 ウイルス感染症との新たな戦い ~グローバル化する 脅威の克服を目指して~
4.チクングニア熱(Chikungunya fever)
山中敦史
1
,
小西英二
2
1大阪大学微生物病研究所デングワクチン寄附研究部門
2大阪大学微生物病研究所デングワクチン寄附研究部門 教授
pp.2569-2572
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201511081
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チクングニア熱(Chikungunya fever)は,かつてアフリカとアジアの熱帯・亜熱帯地域でのみ流行する熱帯病であったが,近年アメリカ大陸にまで流行地域が拡大した。さらに,ヨーロッパの温帯地域でも国内伝播の発生が報告された。2014年に日本国内でデング熱が流行したように,チクングニア熱もまた蚊媒介性ウイルス感染症であるため,主要媒介蚊の一つであるヒトスジシマカの媒介による国内伝播の可能性も十分に考えられる。主症状は,発熱,激しい虚脱感,発疹および強度の関節・筋肉痛であり,上述のデング熱との鑑別診断が重要である。また,特異的治療薬やワクチンはなく,対症療法が主な治療法となる。