連載 公衆衛生Up-To-Date・1【新連載】
[国立感染症研究所発信:その1]
警戒しないといけない輸入感染症の話題「デング熱,チクングニア熱」
高崎 智彦
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部第二室
pp.72-74
発行日 2013年1月15日
Published Date 2013/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102644
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はじめに
デング熱・デング出血熱は,デングウイルス(Dengue Virus)の感染によって発症する急性熱性感染症である.ネッタイシマ蚊(Aedes aegypti)およびヒトスジシマ蚊(Aedes albopictus)が主たる媒介蚊である.さらに,デングウイルスと同じ蚊により,媒介されるチクングニアウイルスというウイルスが,東南アジアや南アジアで流行している.2つのウイルスは,ウイルス学的には異なる科に属するが,臨床症状はかなり類似しており,突然の発熱,関節痛,発疹が主症状である.デング熱は日本国内では1942~1945年にかけて流行したが,その後国内流行はない.しかし,海外のデング熱流行地域からの輸入症例は毎年100~200例前後報告されている.都市部で流行するデング熱とチクングニア熱は,地球温暖化と経済発展に伴う都市への人口流入という要因から,流行拡大が予想され,輸入症例に端を発した国内流行発生に注意が必要である.
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