特集 ウイルス感染症との新たな戦い ~グローバル化する 脅威の克服を目指して~
3.デング熱 (Dengue virus infection)~拡大する流行とその対策~
髙崎智彦
1
1国立感染症研究所ウイルス第一部第2室・室長
pp.2563-2567
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201511075
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デング熱は,蚊が媒介する感染症の中で,近年流行が拡大している。これは媒介蚊であるネッタイシマカやヒトスジシマカが,住環境およびその周辺で生息することによる。また流行地域の都市化現象が,地球温暖化とともに流行拡大の一つの要因とされる。2014年の夏には日本国内で約70年振りにデング熱が流行した。これはヒトスジシマカによる流行であった。流行の原因となったウイルスは,血清型1型ウイルスで遺伝子I型に分類される。デング熱流行に対する対策は,媒介蚊対策とワクチン実用化が,現状では最も有効である。デング熱は急性発熱性疾患であるが,時に出血症状を呈し,重症化する。ワクチンや抗デングウイルス剤は,まだ実用化されてない。