特集 ウイルス感染症との新たな戦い ~グローバル化する 脅威の克服を目指して~
5.中東呼吸器症候群(MERS)
押谷仁
1
1東北大学大学院医学系研究科・微生物学分野・教授
pp.2575-2578
発行日 2015年11月1日
Published Date 2015/11/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201511087
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中東呼吸器症候群(Middle East Respiratory Syndrome)は,2012年にサウジアラビアで最初に確認された新興感染症である。これまでに中東地域を中心に1,400例を超える感染者と,500例を超える死亡者が報告されている。2015年には韓国でも院内感染をきっかけとする流行が確認されている。コウモリが自然宿主の可能性が高く,コウモリからヒトコブラクダなどを介してヒトに感染していると考えられているが,ヒトへの感染経路はまだよく分かっていない。中東地域でのヒトでの感染は継続的に報告されており,日本に波及するリスクも存在する。このような感染症が日本に波及した場合の対応も,十分に考えておく必要がある。