第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
免疫抑制剤~抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン~
増田智先
1
,
上杉美和
2
1九州大学病院教授・薬剤部長
2京都大学医学部附属病院薬剤部・特定研究員
pp.337-341
発行日 2014年1月31日
Published Date 2014/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201413337
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免疫抑制剤として分類される薬物の多くは,臓器移植術後の拒絶反応の抑制や,造血細胞移植後の移植片対宿主病の予防に加えて,一部の自己免疫疾患の治療にも用いられる。従って,免疫抑制剤が用いられる疾患は多岐にわたること,反対に個々の疾患に特徴的な薬物が用いられることから,免疫抑制剤の範疇に分類される医薬品は小分子化合物から抗体医薬に至るまで極めて幅広い。特に急性期ならびに高度な炎症反応を抑える必要がある場合は,標的分子に対する特異抗体を用いた治療が選択される。これまで血液腫瘍分野において用いられていた抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンの適応症が拡大され,腎移植後の急性拒絶反応治療薬として認められることとなった。