第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
抗菌薬
磯辺浩和
1
,
佐藤博
2
1新潟大学医歯学総合病院薬剤部
2新潟大学医歯学総合病院薬剤部教授・薬剤部長
pp.315-322
発行日 2014年1月31日
Published Date 2014/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201413315
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2013年にわが国において上市された医薬品では,特に特徴が際立つ抗菌薬は認められなかった。近年,抗菌薬の開発は停滞の時期に差し掛かっており,新たな成分の抗菌薬が上市されない状況である。今後ますます,pharmacokinetics-pharmacodynamics(PK-PD)理論やtherapeutic drug monitoring(TDM)を通して,抗菌薬適正使用により有効性を高めることで耐性菌出現を防止することが必要になる。国内における開発状況において,複雑性尿路感染症および複雑性腹腔内感染症などの適応を目指して,新規化合物として,新規βラクタマーゼ阻害薬avibactam を配合したavibactam sodium/ceftazidime hydrate(CAZ-AVI)の第詠相試験が行われている。また,新規抗結核薬delamanidが,多剤耐性結核の治療薬として申請中である。2013年6月,日本化学療法学会と日本感染症学会は,「抗MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)薬の治療ガイドライン」を公表した。抗MRSA薬の適正使用に役立つ,わが国独自のガイドラインである。その中で,最も近年に上市された抗MRSA薬ダプトマイシンに関する報告を紹介する。