連載 薬剤師による処方設計〈29〉
外来がん化学療法におけるトレーシングレポートを活用した病診薬連携の取り組み
津田真弘
1
,
礒本唯
1
,
萱野勇一郎
2
,
矢野育子
3
,
松原和夫
4
1京都大学医学部附属病院薬剤部
2京都大学医学部附属病院薬剤部副薬剤部長
3京都大学医学部附属病院薬剤部副薬剤部長/京都大学大学院薬学研究科・准教授
4京都大学医学部附属病院薬剤部薬剤部長/教授
pp.2685-2691
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201411133
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院外処方せん発行率が70%を超えている現状において,外来の患者に良質な医療を提供するためには,保険薬局の薬剤師も医療チームの一員となることが必要である。がん化学療法の主流は外来での治療へと移ってきているが,分子標的薬などの経口抗がん薬の増加に伴い,患者の服薬状況の把握や副作用が発現した場合の対応など,病院薬剤師が対処しにくい場面が増えている。このような場合,保険薬局の薬剤師を医療チームの一員として積極的に迎えることによって,化学療法の有効性と安全性が担保できる。京都大学医学部附属病院ではトレーシングレポート,初回服薬指導確認書および外来処方せんへの検査値の印字を通して,近隣保険薬局とともに病診薬連携を進めてきた。
本稿では,トレーシングレポートを活用して介入した症例を取り上げ,病診薬連携によるコミュニティ(地域)におけるチーム医療構築の重要性について紹介する。