医薬ジャーナル論壇
薬剤師はAST(抗菌薬適正使用支援チーム)の中核 ―耐性菌時代における感染症管理の新機軸―
前田健一郎
1
1本誌編集部
pp.2579-2581
発行日 2014年12月1日
Published Date 2014/12/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201411027
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感染症への社会的関心が,再び高まってきている。きっかけは,8月に明らかになった国内でのデング熱感染者の発生である。約70年ぶりとなる国内感染者のニュースは,大きく報じられた。また,日本での感染症事例に関して記憶に新しいのは,2010年9月に帝京大学病院で発生した多剤耐性アシネトバクターのアウトブレイクである。院内感染による蔓延の結果,短期間に9人が死亡,46人が感染するという悲劇を生んだ。公衆衛生の発達や優れた抗菌薬の開発は,感染症に対する一般の警戒感を弱くした。しかし,新興・再興感染症の流行,さらには新規抗菌薬の開発停滞により,感染症が改めて大きな脅威として蘇ってきている。そこで近年,「抗菌薬適正使用支援チーム(AST:Antimicrobial Stewardship Team)」という取り組みが,感染症封じ込めの新たな方策として注目されている。このチームの中で,薬剤師は中核的メンバーとして期待されているのである。