連載 患者のQOL向上と薬剤師の関わりPART II .服薬指導と病棟活動(97)
薬剤師の病棟常駐による患者のQOL向上への貢献
山室栄一
1
,
遠山幸男
1
,
久田達也
2
1トヨタ記念病院薬剤科
2トヨタ記念病院薬剤科 薬剤長
pp.2203-2207
発行日 2015年9月1日
Published Date 2015/9/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201509159
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トヨタ記念病院では2013年5月より循環器科病棟をモデル病棟とし,薬剤師の病棟常駐を開始した。常駐に際し,各病棟の特性に応じて,薬剤師を複数人数配置できるように,業務体制の改善と効率化を行うことで,薬剤師が主体的に薬物療法に関われるよう配慮した。また,患者と深く関わりを持てるようプライマリー制を導入し,より患者と向き合える体制を構築した。 常駐病棟と非常駐病棟の業務内容の差を,それぞれの介入実績とプレアボイドにおいて数値化し比較した結果,常駐という継続的な関わりを持つことで,医師・看護師の負担軽減のみならず,患者のQOL(quality of life)向上に貢献することが明らかになった。このような取り組みが評価され,薬剤師の増員が行われ常駐の拡大が実現した。薬剤師の病棟常駐は,薬物療法の質の向上や安全の確保,ならびに薬剤師の役割拡充の観点において,実際に配置した時間以上の成果を生み出し,非常に有益である。