特集 パーソナルゲノム時代における倫理的課題
5.パーソナルゲノム解析の医療応用と遺伝カウンセリングの実践
斎藤加代子
1
1東京女子医科大学 附属遺伝子医療センター・所長/同 大学院 先端生命医科学系専攻 遺伝子医学分野・教授
pp.957-961
発行日 2014年3月1日
Published Date 2014/3/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201403077
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ゲノム研究の進歩を背景に,大量のDNA(deoxyribonucleic acid)断片の並列シークエンスによる革新的な遺伝子解析技術である次世代シーケンサーの開発によりパーソナルゲノム解析が格段にハイスループット化され,臨床応用される時代となりつつある1)。従来の臨床検査,さらに遺伝子検査でも診断が困難であった症例において,次世代シーケンサーにより確定診断がつく可能性が高くなってきている。そのような臨床現場で,発症リスクを有する人々において精度の高い発症前診断,保因者診断,出生前診断が可能な時代となった。さらに,被験者には予期せぬ結果や偶発的な所見が明らかになることさえ生じ得るようになった。パーソナルゲノム解析の医療応用においては,遺伝カウンセリング実施体制の構築が重要である。また,わが国の医療事情や倫理的問題に対処でき,オーダーメイド医療にも対応できる人材の育成も求められる。