コラム 私のこだわり
遺伝カウンセリング
堀田 喜裕
1
1浜松医科大学
pp.317
発行日 2008年10月30日
Published Date 2008/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1410102510
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網膜色素変性を代表疾患とする網膜ジストロフィの患者は,予後に対する関心とともに遺伝についてとても心配している。誤解なく説明するためには,時間がかかるので,一回の診察で済まそうとしないことが重要である。私は,こだわりとして,かならず時間をかけて家族歴を聴取することにしている。家族歴は,カルテの余白に書くのではなく,図1のような特別の用紙を使っている。後に患者や保護者が独自に調査して,詳細な家族歴をくださることもある。以前は,遺伝の話をすると尻込みされることもあったが,最近ではそうでもなくなった。
家族歴を取ってみると孤発例であることが少なくないことに気がつく。わが国では20世紀の間に急速にいとこ結婚が減少した。常染色体劣性遺伝の疾患の原因遺伝子を検索すると,父方由来と母方由来の遺伝子異常が同一の遺伝子であっても異常の種類が異なることが多い(これをコンパウンドヘテロ接合体と呼ぶ)。これに少子化が重なって,常染色体劣性遺伝形式であっても,みかけは孤発例にみえることが少なくない。
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