特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~長期の体液管理における役割~
8.肺高血圧に対するトルバプタンの効果と長期投与が必要な患者の特性
田村雄一
1
1慶應義塾大学医学部先進肺高血圧治療学講座
pp.794-800
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402794
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肺動脈性肺高血圧症(PAH)における右心不全傾向は,ほとんどの症例で必発の合併症であり,利尿薬依存を伴う場合が多い。一方,右心不全に伴う慢性的なうっ血肝は心臓悪液質を引き起こすため,適切な水分管理を強化する手段が必要である。また一次的・二次的に関わらず,肝機能障害を伴う症例では低アルブミン血症に伴うループ利尿薬抵抗性も認められるため,体液貯留傾向を改善する手段としての水利尿薬トルバプタンが有効である。慶應義塾大学病院で行われている,右心不全を伴う肺高血圧症症例に対する前向き介入試験の中間解析の結果からも,特に体液貯留傾向を伴う症例においてトルバプタンは有効であり,水利尿薬の併用によりループ利尿薬の抵抗性を解除する可能性が示唆された