特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~長期の体液管理における役割~
9.慢性心不全における心血行動態への影響:Swan-Ganzカテーテルによる検討
土肥薫
1
,
伊藤正明
2
1三重大学大学院循環器・腎臓内科学講師
2三重大学大学院循環器・腎臓内科学教授
pp.801-809
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402801
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慢性心不全患者のうっ血に対する治療において,これまで強力なナトリウム(Na)利尿作用を有するループ利尿薬が主要な役割を果たしてきたが,本邦ではバソプレシンV2受容体拮抗作用により自由水排泄を促進するトルバプタンの臨床使用が可能となった。我々は,ループ利尿薬を中心としたナトリウム利尿薬内服下でもうっ血所見を呈する慢性心不全患者22人(NYHA〔New York Heart Association〕心機能分類II~IV度)に対し,7.5 mg/日のトルバプタン7日間投与前後で,Swan-Ganz(SG)カテーテル検査による心血行動態評価を行った。
トルバプタンの投与により,利尿効果やうっ血所見の改善効果のみならず,心内圧の低下,心係数の保持,肺循環の改善が認められた。トルバプタンの短期投与が血行動態に及ぼす影響について,症例提示も交えて解説する。