特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~長期の体液管理における役割~
7.重症心不全(NYHAIII~IV,ACC/AHA Stage C~ D)での有効性
菅野康夫
1
,
安斉俊久
2
1国立循環器病研究センター病院心臓血管内科部門心不全科 医長
2国立循環器病研究センター病院心臓血管内科部門心不全科 部長
pp.787-793
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402787
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従来の利尿薬と全く異なる作用機序を持つ新しい利尿薬,トルバプタンが登場した。トルバプタンは腎臓におけるバソプレシンV2受容体に拮抗し,水の再吸収を抑制する水利尿薬である。入退院を繰り返す低心機能の重症心不全患者では利尿薬抵抗性をきたしている場合が多く,ナトリウム(Na)利尿薬のみで心性浮腫を十分に抑制するのは容易でない。そればかりでなく,利尿薬増量による腎機能悪化や,予後への影響が危惧される。トルバプタンは,こうしたNa利尿薬抵抗性の心不全における体液貯留に対して効果的な薬剤である。重症心不全では,急性増悪期のみならず,慢性期にも長期的なトルバプタン投与が必要な症例が少なからず存在し,これからの重症心不全の管理に新たな選択肢の一つとなる薬剤として期待される。