特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~長期の体液管理における役割~
6.重症心不全から見たトルバプタン投与の意義:補助人工心臓(VAD)までの繋ぎ
大谷朋仁
1
,
坂田泰史
2
1大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学
2大阪大学大学院医学系研究科循環器内科学教授
pp.782-786
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402782
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
重症心不全の治療として行われる心臓移植には,数年単位の待機期間があり,補助人工心臓(ventricular assist device:VAD)装着下で待機することが現在の主流となっている。移植までの待機期間や基礎心疾患によっては,その間の右心系の心筋傷害なども鑑み,強心薬に加えて利尿薬などによる心不全管理が限界に至る前に,強心薬からの離脱が困難と判断した時点でVADへの移行を考慮することが多い。VADの可能性が考えられるような状況でのトルバプタン投与による水分管理の場面は,術前としての比較的短い期間になることが多く,血行動態への影響が少なくより安定した状態へ移行できて,周術期のリスク軽減にも繋がるものと期待される。