特集2 心臓性浮腫とトルバプタン ~長期の体液管理における役割~
10.重症心不全におけるトルバプタン投与の意義:低ナトリウム血症の観点から
肥後太基
1
1九州大学大学院医学研究院循環器内科学・診療講師
pp.810-817
発行日 2014年2月1日
Published Date 2014/2/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201402810
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重症心不全では,心拍出量の低下や腎血流量の低下と,それに起因する交感神経系,レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系,バソプレシン系と,さまざまな神経体液性因子が惹起され,そのことが心不全の経過にさらなる悪影響を及ぼすという悪循環に陥りやすい。重症心不全における低ナトリウム血症の合併は,重症度の指標であると同時に,それ自体も予後の増悪因子である可能性がある。従来の内科的治療に抵抗性の低ナトリウム血症を合併した重症心不全に対して,経口のバソプレシンV2受容体拮抗薬であるトルバプタンは,その強力な水利尿作用を介してうっ血を改善することが期待されるとともに,予後についても改善させる可能性が示唆されている。