第 III 部 治療における最近の新薬の位置付け~新薬の広場~
■排尿障害治療薬
武田正之
1
,
荒木勇雄
2
,
澤田智史
2
,
中込宙史
2
,
望月勉
2
,
小林英樹
2
,
座光寺秀典
2
,
芳山充晴
2
1山梨大学大学院医学工学総合研究部泌尿器科学部門 教授
2山梨大学大学院医学工学総合研究部泌尿器科学部門
pp.514-525
発行日 2013年1月31日
Published Date 2013/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201313514
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
排尿障害治療の原則は,(1) 排尿筋収縮力の増強,と (2) 尿道抵抗の減弱,である。前者にはムスカリン受容体活性薬やコリンエステラーゼ阻害薬が含まれ,後者には交感神経系α1受容体遮断薬,前立腺肥大症のみを適応とする男性ホルモン5α還元酵素阻害薬デュタステリド(アボルブR),Phosphodiesterase type5 inhibitor(PDE5阻害薬),ボツリヌス毒素が含まれる。PDE5阻害薬タダラフィル(シアリスR)は勃起障害治療薬としての適用であったが,昨年,米国で男性の前立腺肥大症に伴う下部尿路症状に対して保険適用となり,わが国でも臨床開発中である。 蓄尿障害治療の原則は,(1) 排尿筋過活動の抑制,(2) 排尿筋弛緩機構の増強,および (3) 尿道抵抗の増強,がある。(1),(2) は過活動膀胱や排尿筋過活動に対する治療法であり,第一選択は抗コリン薬であるが,最近,交感神経系β3受容体活性薬(ミラベグロン;ベタニスR)が認可された。抗コリン薬などの従来治療法に抵抗性の神経因性過活動膀胱に対して,A型ボツリヌス毒素の膀胱排尿筋内注射法が,2011年に米国で保険適用となり,欧州でも承認されている。