第III部 治療における最近の新薬の位置付け〈薬効別〉~新薬の広場~
排尿障害治療薬
水流輝彦
1
,
河内明宏
2
1滋賀医科大学泌尿器科学講座
2滋賀医科大学泌尿器科学講座 教授
pp.500-505
発行日 2017年1月31日
Published Date 2017/1/31
DOI https://doi.org/10.20837/1201713500
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下部尿路症状は,「排尿症状」,「畜尿症状」,「排尿後症状」に大別される。 排尿症状,蓄尿症状それぞれの障害に対して,まず薬物治療が行われることが多く,排尿症状では男性における前立腺肥大症治療が,蓄尿症状では過活動膀胱がその代表である。 前立腺肥大症治療薬は2014 年にPDE5(ホスホジエステラーゼタイプ5)阻害薬であるタダラフィル以降上市された新薬はない。過活動膀胱治療薬も2011 年にβ3 刺激薬のミラベグロンと,2013 年に抗コリン薬のフェソテロジン,オキシブチニン経皮吸収型製剤が薬価収載された後は上市されていない。排尿筋収縮力が低下する低活動膀胱では,長年新薬は上市されていない。第III相試験が進行している薬剤もKRP-114V(ヒベグロン),GSK1358820(A 型ボツリヌス毒素)の2剤のみである。 難治性過活動膀胱治療薬として期待される,第III相試験が始まったボツリヌストキシンに関して述べる。