特集 糖尿病治療薬の最前線 ~臨床試験・臨床疫学的観点も含めて~
2.グリニド薬とその治療成績
浜口朋也
1
,
松尾俊宏
2
,
勝野朋幸
3
,
難波光義
4
1兵庫医科大学先進糖尿病治療学(寄附講座)・特任准教授
2兵庫医科大学内科学糖尿病・内分泌・代謝科
3兵庫医科大学内科学糖尿病・内分泌・代謝科 講師
4兵庫医科大学内科学糖尿病・内分泌・代謝科 主任教授
pp.2345-2351
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.20837/1201310057
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速効型インスリン分泌促進薬であるグリニド薬は,同じくインスリン分泌促進薬であるスルホニル尿素(SU)薬と比較してインスリン分泌促進効果が速やかに発現し,特にインスリン初期分泌の改善は食後高血糖の是正に効果的である。また,SU薬に比して,低血糖の発現頻度や体重増加作用を低減できる利点があり,心血管イベントを抑制する効果も期待されている。しかし,ナテグリニドを用いたNAVIGATOR(Long-term Study of Nateglinide+ Valsartan to Prevent or Delay Type II Diabetes Mellitus and Cardiovascular Complications)試験では,糖尿病発症の抑制や心血管アウトカムの改善といった成果が示されず,グリニド薬の課題や限界も示唆されている。最近,新たにdipeptidyl peptidase(DPP)-4阻害薬との併用適応が拡大されつつあり,それぞれの薬剤特性を活かした併用療法が模索されている。