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Case α-グルコシダーゼ阻害薬で血糖が治療目標値に達成しない症例
患者:67歳,女性,主婦.既往歴:特になし.
臨床経過:54歳時,健康診断にて尿糖指摘され,75 gOGTTにて「糖尿病」と診断された.以来,食事療法のみで,空腹時血糖値は100~150mg/dLであった.62歳ごろより,朝食後2時間血糖値が200~250mg/dL,HbA1C値が7.5%以上に上昇した.75gOGTTにおける血糖値(mg/dL)は,0分:141,30分:264,60分:316,90分:323,120分:334,インスリン値(μU/mL)は,0分:14.8,30分:39.6,60分:74.1,90分:75.1,120分:86.7であり,初期インスリン分泌は低下[insulinogenic index(⊿インスリン30分/⊿血糖30分):0.20],インスリンの頂値は120分に認められた.アカルボース(グルコバイ(R))300mg/日が開始され,朝食後2時間血糖値は低下,HbA1Cも6.5%前後で推移した.約12カ月前から,朝食後2時間血糖値が200mg/dL以上に,HbA1Cも7.0%以上に達するようになったため,アカルボース(グルコバイ(R))300mg/日に加えナテグリニド(スターシス(R),ファスティック(R))270mg/日が開始となった.連日75gOGTTによりナテグリニド(スターシス(R),ファスティック(R))非投与時と投与時のOGTT(Box 1a)を比較すると,ナテグリニド(スターシス(R),ファスティック(R))によりinsulinogenic indexは0.14から0.41へ上昇し,糖負荷後の初期インスリン分泌が改善することが観察された.さらに,実際にナテグリニド(スターシス(R),ファスティック(R))併用後の12カ月の経過では,朝食後2時間血糖値は低下しHbA1Cも低下,6.0%前後で推移した(Box 1b).
身体所見:身長151cm,体重61kg(最大既往体重66kg,54歳),血圧132/80mmHg,胸部・腹部,特記すべきことなし.四肢に浮腫なし.神経学的所見は異常なく,眼底にも網膜症を認めない.
検査所見:(ナテグリニド使用開始時)尿中蛋白(-),血清脂質:異常なし,腹部CT検査にて,著明な脂肪肝,内臓脂肪蓄積[内臓脂肪(V)面積:118cm2,皮下脂肪(S):176cm2,V/S比:0.67]
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